和三盆って言葉の響き好き

ここは東京砂漠

Dr.伊織 feat.胸毛

最初にふと気になったきっかけはよく覚えてる。

隣の部屋からたまたま聞こえてきた会話。

「僕は医者になるにあたってサブカルから離れちゃったから」

これは失礼極まりないけど、あまりにもコミュニケーションが苦手そうで、いやむしろ苦手なんだろうなと思う節が多々あったし、まず目を見て話したことが一度もない。

というよりも、もっと言えば社会から浮いている。

だからもはやなるべくしてこの職業に就いたんだな、と腑に落ちてしまうほどの隠キャ。

 

その人とひとまわり以上年が離れている相手と喋っている時のたった一言の盗み聞き。

なんとなくその人の人となりを知れた一言に、関心を持った。

この人は何が好きなんだろうってなんとなく知りたくなった。

かと言って直接その人に、「何が好きなんですか?」と聞くほどそこまでの興味もなかった。

これはあとで知ったけど、アニメが好きだと言っていた。なるほど、想像通りだな。

 

女性の多い職場でその人は特段目立っていた。

まずは物理的に背が大きい。

昔からずっと机に向かって勉強してきたんだろうな、そう言ったらニコ動とかすごい好きそうだな、とかアクティブな姿が全く想像できないほど猫背なのに、それでいて背が大きいから、当の本人は嫌がるだろうが、目立っていた。

そしてからし蓮根の伊織に似ている。

ホストの漫才で、ホスト伊織が客を両手で追いかけるところ、あれに似てる。

あとは動きが遅い。緩慢っていうわけじゃないけど、自分だけの時間軸を持っている感じがした。多分あの人の1日は24時間以上あるな、って思うくらい遅い。

あの人が1歩踏み出す間に、私は10歩は歩けてしまっている。

話し方もゆっくり、本当にちょうどナマケモノを擬人化したような、そんな感じ。

 

基本的に怒らない、忙しさ故にツンケンしがちな医者は多いけど、怒っている姿を見たことがない。

優しいかと言われたら、別にそんな感じもしない。口調も一定だし感情がなさそう。

強いて言えば、ちょっとイラッとしたな、みたいな時は大体ペン回ししてる。心の乱れを静かに整えてるみたいに、ペンを高速で回してる。

目に見えるほどオドオドしている時はあるけど、感情が表に出にくいのか、いつもぼーっとしてた。

 

話は変わるけど、私にはもともと人をガン見してしまう癖がある。

それが知っている人でも知らない人でも、気になると、相手が意思を持っている人だということを忘れてぼーっと眺めてしまう。

この癖のせいで困った体験はたくさんある。

 

ただ見ていただけなのに、きもいとか言われたり。

目が大きくて威圧的だから、喧嘩売ってんのかって逆上されたり。

あとは全く興味ないのに連絡先を貰ったり。

まあでも割と芸能人とかに気付きやすいのは、この癖だと思う。

 

よく英単語で言う、LOOKとSEEで言えば、この癖は全部SEE。

全部たまたま目に入って、今近くにあるいろはすが目に入ってるみたいなのと一緒。

でもなんとなくあの人は意識して見てた。

好きとか嫌いとかそういう物臭な話じゃないからなんとも説明し難いけど、

面白くて、プププ的な感じで見てた。ちょっと酷いことをしていたかも知れないな。

 

マスクを外したところも見たことがないし、ましてや下の名前の読み方も分からないからフルネームすら知らないけど。

 

昨年度いっぱいでいなくなった面白い人。

今はその面白い人がいないから、違う面白い人を探してる。

なかなかいないなあ、残念。